母が旅立った日

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

3年前、71歳の若さで…
ガンと戦い、それでも強く生きた母は
旅立った…。
医者に出来る治療が無い事を知らされ
強行退院をし、母は私が自宅に連れて帰った。
一緒に父もついてきて。
私には、3人の子供と旦那様が居る。
5人家族だったけれど、
その日からは、7人家族になった。
 
痛みをコントロールする事しか、母に出来る事は無かったけれど、
楽しい日常を、母にプレゼントする事は出来たと…想っている。
毎日が、とても賑やかで笑いに溢れた日々。
こんな日々が、ずっと続くと良いな…と願っていたけれど…
 
最期の日は、やってきてしまった。
 
朝、私が起きて 母の顔を見ると…
眠っている母なのに…
言葉に出来ない違和感を感じた。

やっぱり…
母は、朝から 起き上がる事が出来なかった。
食べ物も、少しも口にする事が出来なかった。
目は開くし、会話も出来た。
けれど…    感じる違和感。
 
とても強かった母なのに、その日
初めて言った弱音。
「もう死にたいわ。
 誰か殺してくれんかなぁ」…と。
 
自分の最期を、母は悟ったのかもしれない。
その日の夜、母は旅立った。
 
私の家族5人。
私の姉と旦那様と娘の3人。
私の兄と、父。
在宅医療の先生と、訪問看護師にも見守られ
母は、一筋の涙を流し
天国へと旅立った。
あの涙の意味は、わからないけれど…
きっと、ありがとう…と言ってくれたんじゃないかと…
私は、想っている。
 
母の周りには、たくさんの涙のがこぼれた。
母との思い出や、感謝の気持ちで
止まらない涙が溢れた。
どんなに泣いても、もう母は戻らないけれど…
大人になってから、あんなに泣いたのは…
初めてかもしれない。 
 
あれから3年。

お母さん
あなたの強さは
私の心で、生きています。
あなたの笑い声は
毎日 私が笑っています。
あなたがくれた優しさは
私の子供へと 繋げています。
あなたがくれた、幸せは
今、家族 皆を幸せで包んでくれています。
お母さん
心配しないでね。
ありがとう。